或阿呆のブログ

巷では、武器商人@ダーツで通っていました。Python好き好きプログラマーです。芥川龍之介、太宰治が好きです。

こころ (まんがで読破)

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こころ (まんがで読破)

こころ (まんがで読破)

「こころ まんが」で検索すると、心療内科関連の本がたくさん出てきてうざかった。。。

夏目漱石の小説の中でもおそらく一番有名な作品であると思われる。それがまんがで読める。正直、「こころ」は、小説で読んでもまんがで読んでも楽しい。現代人の感覚でも、十分に理解出来、また楽しめるんじゃないだろうか?!

さっそくだが、ねたばらしと行こう。

先生とKは、同じ家に下宿していた。その家のお嬢さんを二人とも好きになる。先生とKは性格的には正反対だが親友同士だった。Kは精進一筋で、他人の目を気にせず自分を律していける人間。対して、先生は他人の目を気にし生きていた。Kは精神的向上心が無いものは馬鹿だと主張し、恋愛に対しては軽蔑した態度を取っているように見えた。が、先生は、Kとお嬢さんが仲良くしていることに対して、異常な嫉妬心を持つ。Kとお嬢さんの仲は、実際にはどれほど親密だったかは、読者にも先生にもわからないと思われるが、恋仲ではないかと思えるくらい仲良くしているように見えた。先生は思う、Kこそが浮ついていている馬鹿じゃないかと。

途中、わりといい具合に明治天皇崩御と、乃木希典大将の殉職の知らせのシーンが入る。この部分はノンフィックションである。また、夏目漱石が生きていた時代の象徴的な事実として、影響が大きい出来事だったかと思う。乃木将軍は、西南戦争で軍旗を奪われるという失敗をし、本来なら切腹するような状況であったにも関わらず、明治天皇の抑止により切腹を止められた。そのときから、乃木将軍の、死に場探しははじまっていたのかもしれない。「葉隠れ」の、武士道とは死ぬことと見つけたりとも通じる思想かもしれない。明治天皇という主の死は、死に場としてはそれ以上の無い場であったと思われる。乃木将軍の殉死が、Kの自殺(変死と書かれているが)とも大きく関連していると言われているし、実際にそう見える。

あるとき、Kは先生に打ちあける。お嬢さんが好きだと。先生は、自分が思っていたことを先にKに告白され、動揺する。また、Kは先生に、自分がわからなくなったと打ち明け、自分はどうだと意見を尋ねる。それに対して先生は、以前のKの態度を真似るかのように、恋愛なんかする奴は馬鹿だという態度を取る。そして、お嬢さんの母に、お嬢さんを下さいと言う。いうなれば、出し抜けだ。結果としては、お嬢さんを貰うという形になる。その事実に対して、Kは特に抗議するわけでもなく、二人の関係を祝福?する。

先生は、Kの対応を見て、

あいつは立派だ。僕は策略で勝っても、人間として負けたのだ。

と思う、自省の念に駆られる。そして、Kに謝ろうとするが・・・。

日本文学史上、最も残酷なシーンとも言われる(高校の先生が言っていた・・・)Kの自殺現場を見る。Kは、現場を見るに動脈でも切ったのだろう。遺体の近くに、遺書らしきものを見つける。先生は、それを見て、しまったと感じる。自分の卑怯な駆け引きについてだとか、恨みつらみでも書かれているのではないかと疑い、その前に処分しようと考え中身を見る。ところが、Kの遺書には、Kらしく、自分の弱さを認め、弱さゆえに自殺するという内容の記載がある。(強い人間だと思う)それを見て先生は、事もあろうにほっとする。そして、自分の部屋に戻ろうとした際に、反対側の襖にもKの血が飛び散っていることに気付き、驚愕する。

そこから、先生は人が変わり、本と酒に明け暮れる。(詳しいことは書いていないが・・・。)先生とKのやり取りについてお嬢さんは知らない。先生が言うには、きれいな記憶のままで居て欲しいとのことだ。

私は、私がもっとも憎む人間になり果てました。人に失望していた自分が自分に絶望したのです

個人的なことを言えば、太宰治人間失格の一文

人間、失格

と並ぶくらいの衝撃。

作品としても申し分無い、私の好きな小説の一つ。